梶原のアイデア「リビング階段のある家」が、日本の住宅の住まい方を変え、家族のコミュニケーションを変えた。

 20年ほど前、愛知県の中学校で「いじめ」を受けた生徒が自殺する事件が起こった。
 家族は「いじめ」があることに気づかなかった。
 住宅メーカー大手・積水ハウスの営業マンとして、いろんな家族を見続けてきた梶原は、家族が子どもの「いじめ」に気づかなかったのは、家の間取りも関係があるのではないかと考えていた。
 間取りを変えることで、日々、自然に親子がふれあう住まいにできないか——。
 それまで子ども部屋のある2階に上がる階段は、玄関付近に設けるのがほとんどで、外から帰ってきた子どもが、家族に顔を会わせることなく自分の部屋に入ることができていた。
 「ここに問題があるのではないか?」 そんな発想から思いついたのが、リビングルームに2階への階段を設ける「リビング階段」である。こうすれば、子どもが階段を上下する度に、自然に親と顔を会わす。言葉を交わす機会も増える。家族が子どもの変化に気づきやすい、コミュニケーションあふれる住まいにすることができる。
 この考え方は、積水ハウスの「リビング階段のある家」の開発にはじまり、同社はもちろん、他メーカーにも支持され全国に広がり、今や日本の一戸建て住宅のスタンダードプランとなっている。